ダメな大企業を敵に回す
「差別化」はどこに行っても聞く言葉だから、もうそろそろ耳にタコができてるかもしれない。
平たく言えば「他人と違うことをする」ってことだけど、外側からいろいろ言われてもあんまりパッとしない言葉の一つだ。
ちょっと環境的な条件が限定されるかもしれないけど、僕個人のことを例にさせてもらうと少し具体的なイメージが湧くかもしれない。
僕たちの仕事は、ダメな大企業が「効率化」というお題目の下にめちゃめちゃなことをやりまくってるお陰でクライアントの「現場」に取り残された「非効率性」を解消することだ。
あなたも、ダメな大企業が製造してる強化ゾンビみたいな営業マンが「業務を効率化しましょう!」「無駄なコストを省きましょう!」「うちのサービスを使うとこんなに簡単にできちゃいますよ!」とリップサービスたっぷりに実際のところは中途半端な機能のシステムをばら撒いている光景をいろんなところで目にしていると思う。
システムの機能はそれなりでも本稼働するまでに何年もかかったり、サポート体制がめちゃめちゃだったり、オールインワンと言いつつ何から何まで追加料金を請求されたり・・・(挙げたら切りがない)。
そういう不条理な商品でも、売りつければ売りつけるほど評価される場所 – それが大企業だ。
そうやって大企業が「効率化」の名の下に現場のオペレーションをめちゃめちゃにしてしまった結果、耐え難い「非効率性」が取り残される。
この「非効率性」はそもそも想定されていないものだから、システムを売りつけた当の大企業はもちろん何もしてくれないし、決済したクライアント側の取締役やマネジャーもどうすることもできない。
結局その「非効率性」に立ち向かうのは何も知らない現場スタッフということになる。
システムに詳しい現場スタッフを育て上げるには時間もコストもめちゃめちゃかかる(やってみた人は骨身にしみてその苦労がお分かりだろう)。
でも人件費を育成に回せる企業はまだ救われてる。
ほとんどの場合、打つ手もなく、ただ呆然とランニングコストが流出していくのを止められないのが現状だったりする。
そこで僕たちはそういう非効率な部分をクライアント内のオペレーションから巻き取ることをビジネスにした。
巻き取ったものを徹底的に効率化する方法を日々磨いている。新手の「非効率性」が続々と登場してくるからだ。
(ちなみに僕も、僕の相方も、昔はそんな大企業の側で働いていた。だから今はある意味で同朋の尻拭いをして回ってるってわけだ。)
つまり僕たちにとって一番の「差別化」は、ダメダメな大企業を敵に回すってことだ。
無茶なやり方でビジネス(みたいなもの)を振り回してる大企業が絶滅しない限り、僕たちの仕事はなくならない。
クールな企業と付き合おう。対等に
世の中にはダメな大企業ばかりじゃないことも確かだ。
クールな企業(概して小さなチームだ)もたくさんある。
協力し合うならクールな連中を選ぼう。
僕らもこの仕事を始めたばかりの頃は企業との付き合い方がよく分かってなくて、妙な妄想をしてた。
「どっかの大企業が僕らのことを気に入ってくれて、いい感じで仕事回してくんないかな〜。」
死んじゃえばいいと思う。
はっきり言う。こんなことはほとんどあり得ない。
真実はこうだ。
企業がフリーランスに仕事を与えてくれるんじゃなくて、僕たちフリーランスが企業に仕事を振ることのほうがずっと多い。
(過去の自分達も含めて)この関係を逆に考えているフリーランスは結構多い気がする。
クライアントの現場で本当に解決すべき問題を直接に見つけてくる頻度は、企業で働いている営業マンやサポート担当者よりも、身軽な僕たちフリーランスのほうがずっと得意だ。
それにフリーランスは小さくても事業主だから、クライアントの特にオーナーやマネジャーはその辺のサラリーマンよりも僕たちフリーランスのことをずっと身近に感じている。
だからサラリーマンじゃ理解できないような悩みも聞ける機会が多いのだ。
そんな優位な立場のフリーランスだけど、少人数でしかもある特定のスキルにフォーカスしてビジネスをやってるから、自分たちじゃ手に負えない問題が多いのも確かだ。
そこで、僕たちフリーランスはクライアントの力になりたい一心で最良の解決方法を探す。
問題の規模によっては同じくフリーランスで活躍している仲間に声をかけることも少なくないけど、だいたいはその問題を解決できる企業を探す。
もうお分かりだろう。
フリーランスは常にクールな企業を求めているのだ。
逆にダメな大企業はフリーランスから見捨てられる。
クールな企業は全く営業費も広告費もかけずに優良なクライアントをゲットできる。
ダメな大企業は優秀なフリーランスからも優良なクライアントからも無視される。
厳しいけどそういうことだ。
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