自由に仕事をするためには考え方や仕組みから考えなおさなきゃいけないよね?と思うことがちょっとあったので少し書く。
 
 

自由になろう


 
チームメイトの羽持が「タモリ論」か何かを読んだらしく、その中に「人は不自由を好む」という一節があったらしい。
 
これは本当にそうだなと思う。
 
 
あるクライアントさんと Mtg してたときもこんな話題が出た。
 

 
仕事なんて少なきゃ少ないほどいいのに。
 

 
仰るとおりです。
 
特に企業に勤めていると忘れがちなんだけど、仕事を増やしているのは他の誰でもなくてその人達なんだよね。
 
「これこれこうしたいけど、リソース不足だから云々」という話は企業内でよく耳にするけど、その前に仕事を減らす努力(というより単なる一時的な手間)を惜しんでないだろうか?
 
「A という処理をするためには、p という手続きが必要で、その後 q という審査をして、m さんが n さんにこれこれという書類を渡して・・・」なんていうオペレーションがあり、更に言うとそのオペレーションを監視している x さんと、ルールを文書化している y さんと、それを部署間でシェアするために動いている z さんと・・・のようにどんどん仕事が膨れ上がっていく様を至るところで見てきた。
 
なんで m さんが n さんに「いつものお願いします」というだけで処理が完結するようにしないのだろうか?
 
 
核心を言ってしまうと(これは Mtg の中でクライアントさんが的を得たことを言っていたので引用させてもらうんだけど)、仕事が増えたから人を雇ったんじゃないんだ。
 

人を雇ったから仕事が増えたんだよ。

 
 
人間て言うのは情があるから、目の前に暇そうな人がいると仕事を与えたくなってしまうんだ。
 
そう、これこそ正に「人は不自由を好む」という性質の裏返し、もしくはアウトプットだ。
 
なるべく少ない人数で、シンプルに仕事をしよう。
(企業だとそうは行かないって?思い切って人事権のある人とちゃんと話をしてみよう!これはあなたの日常業務に関係大ありなんですよ。)
 
シンプルに仕事ができれば自然と自由な時間が手に入る。
 
そして大事なのは、自由な時間のほうが不自由な時間よりも価値があるってことをしっかり認識することだ。
 
 
 

ボトムアップ


 
漠然と「自由になりたい」と思ってもなかなかうまく行かない。なぜなら漠然としているからだ!
 
人間の脳というのは、抽象から具体を見つけるのに不自由な作りをしている。
 
作りはそうなっているのだが、不思議なもので、人はある程度の特権(例えば管理者とかマネジャーとかいう肩書)を与えられると、抽象から考え始めたがる。
 
と同時に、抽象を自分にも他人にも押し付け始めるものなんだ。
 
「抽象」というとイメージが湧かないなら「概念」とか「プラン」とか「仕様」とか「ユーザの動向」とかに置き換えて考えてみるといい。
 
要は「それだけじゃなんの役にも立たないもの」のことだ。
 
 
抽象から出発して具体的な「もの」を作っていく(もっと言うと、「もの」を作る段階で判断に迷ったら抽象に戻って再考する)やり方をトップダウン型という。
 
言い換えれば、トップダウンとは「役に立たないもの」から「役に立つもの」を作る行為なわけで、物凄く非効率的なんだけど、これまた人間の創造的な部分に訴えかけるやり方なもんだから、割りと大きなチームでは堂々と採用されている(そして尊大なトップダウンになればなるほど、苦しめている人数も膨れ上がる)。
 
 
この逆がボトムアップ型だ。
 
例えばボトムアップのプログラミングでは、まず思いつく部品(具体的な仕事をする末端の関数とか)をざくざく作っていく。ぶっちゃけて言うとかなりテキトーに、動けばいいやぐらいの感じで作っていく。
 
少しまとまった量になってきたら、更にその上のまとまった処理をこなすような(つまりちょっとだけ抽象化された)「層」を、先に作っておいた部品で組み立ててみる。
 
不具合があれば部品をもうちょっとちゃんと作る。で、また一つ上の層に行って動作を確認する。
 
こうした再帰的な作業の繰り返しで問題をひとつひとつ片付けながら、幾層にも重なりあった状態を作り、最終的なゴール(トップの抽象)を目指すやり方がボトムアッププログラミングだ。
 
 
僕はボトムアップ型の仕事が好きだ。
(そしてトップダウンの組織の中に組み込まれるのは大嫌いだ。)
 
感情的にはそうなのだが、実務的な部分で言うと、ボトムアップの作業スタイルと局所化されたトップダウン型のロジックを上手く組み合わせて仕事をしている。
 
何しろ、自分以外の誰かを納得させて必要な料金を払ってもらうためにはトップダウン的ロジックで話をする必要があるんだから(誰も宇宙語みたいなプログラムコードをそのまま見せられても「で?」ってなるでしょ)。
 
ああ、それと自分も何をやりたいのかはっきりさせるために、マイルストーン的なタイミングでトップダウン的な観点を持つのはとても重要だと思う。
 
 
にしてもだ。
 
 
未来を見るのに不自由な星の下に生まれた人類にとって、トップダウン指向を中心にした組織や仕事ってのは本当につらいだけだと思う。
 
本質はそうなんだけど、トップダウンにどっぷり浸かった連中が金と権力をコントロールしている中で働いているとなかなかボトムアップの反旗を翻すのは難しいだろう。
 
ボトムアップは必然的に多様性を認めまくることになるので、リソースもリスクも分散する。
 
つまりとっ散らかって全体を把握するのは難しくなる(リソースの分散)けど、思いも寄らない発見があって日々の仕事が楽しくなったり(多様性の許容)、なにか問題が起こった時に影響範囲が局所化されて(リスクの分散)デバッグがスムーズに進んだりする。
 
これは何でもかんでも中央に集中させたがるトップダウン狂の連中にしてみれば悪いことだらけだ。
 
 
トップダウンは頭の硬い奴らが好む傾向にあるから、人生でそれに関わる時間は最小限にした方がいい。
 
トップダウン狂の連中とあんまり戦わなくて済むフリーな立場にいるならば、是非ともボトムアップ型で仕事をしよう。
 
 
 

§1649 · Posted By · 5月 31, 2014 · Business, Development · Tags: · [Print]